2009年1月22日木曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します。 

第二 事案の概要
 被告は、現実の時間外労働(残業)及び深夜労働(残業)の有無及び長短にかかわらず、被告営業部の男子従業員には月二四時間分、同第四作業部の男子従業員には月二八時間分の定額の割増賃金(残業代)を支給し、この他には時間外労働(残業)及び深夜労働(残業)に対する割増賃金(残業代)を支給しないという扱いをしていた。
 本件は、被告営業部ないし第四作業部の従業員であった原告らが、被告に対し、現実の時間外労働(残業)及び深夜労働(残業)により支払われるべき割増賃金(残業代)が月二四時間分ないし二八時間分を超えた場合の差額の割増賃金(残業代)、遅延損害金及び付加金を請求したのに対し、被告が右各支払義務はないとして争った事案である。
一 争いのない事実等
1 被告は、印刷業を主たる業務とする株式会社で、被告肩書地の主たる営業所の所在地に本社及び本社工場を、また、千葉県船橋市に習志野工場を有している。
2 原告らは、いずれも昭和六三年八月二一日から平成二年六月二〇日までの間(以下「本件請求期間」という。)、被告に雇用され、次のとおり、就労していた。
 すなわち、原告是村、同内田、同川田、同小高、同小林、同小森、同斉藤、同白井、同西村、同野田、同堀田、同三島、同茂木は、被告営業部(受注・発注等営業一般を取り扱う部門)に所属し、原告庄司、同西脇、同榎本、同金子、同田邊は、被告第四作業部(印刷製版の進行管理等を業務とする部門)に所属していた。原告豊島は、昭和六一年四月に被告に入社して、営業部に所属していたが、平成元年四月、第四作業部に配属され、平成二年六月二〇日まで同部に所属していた。
3 被告における従業員の始業時刻は午前九時であった。
4 被告営業部及び第四作業部に所属する従業員の給与支給形態は月給制であり、被告の給与規定(〈証拠略〉、以下「給与規定」という。)には、左記の定めがある。

       記

(超過・深夜・休日勤務手当)
一八条 従業員が所定労働時間外、または深夜(当日二十二時より翌朝五時までの間)もしくは休日に勤務した場合には、一時間について次式で計算される超過・深夜・休日勤務手当を支払う。
 但し、週平均実働四十八時間以内の時間外勤務(残業)に対する手当の計算においては次式の乗数を一とする。
一、月給制および日給月給制
(基本給・職能・役付・資格・現業・2部制・調整・特別・技術・運転の各手当)÷(年間所定労働時間÷12)×(1+割増率)
(以下略)
(割増率)
一九条
一、月給制および日給月給制
1、時間外(早出、残業)
          二割五分
2、深夜業
イ、単部制     二割五分
ロ、二部制     五割
3、休日出勤    二割五分
二、日給制(略)
三、深夜業と時間外または休日労働との重複
 一および二の割増率について時間外または休日の労働が深夜に及ぶ場合は時間外・休日の割増率と深夜業の割増率は加算されるが、休日労働が深夜に及んでも時間外割増は加算されない。
5 被告においては、就業規則や給与規定上の定めは存しないものの、時間外労働(残業)及び深夜労働(残業)(以下併せて「時間外労働(残業)等」という。)に対する割増賃金(残業代)の支払いについて、昭和六三年八月二一日以前から、現実の時間外労働(残業)等の有無及び長短にかかわらず、営業部の男子従業員には月二四時間分、第四作業部の男子作業員には月二八時間分の定額の割増賃金(残業代)を支給し、この他には時間外労働(残業)等に対する割増賃金(残業代)を支給しないという扱いをしていた(以下この扱いを「本件固定残業制度」、本件固定残業制度により従業員に支給される定額の割増賃金(残業代)を「固定残業給」、固定残業給の計算の基礎になる固定化された月二四時間あるいは月二八時間の残業時間を「固定残業時間」という。)。
6 被告従業員は、本件請求期間中、出社・退社時刻を自らタイムカードに打刻し、この記録は個人別出勤表に転載されていた。
 なお、同表の計算方法は、一五分ごとに〇・二五時間ずつ加算されるというものである。
7 被告における賃金の計算期間は、前月二一日から当月二〇日までで、支払日は毎月二五日であった。
8 被告には、昭和五三年五月に結成された訴外三晃印刷労働組合(以下「訴外組合」という。)があり、原告らのうち、原告是村、同川田、同小高、同西村、同堀田、同三島、同庄司、同豊島、同西脇の九名が右組合員、その他の一〇名が非組合員であった。平成二年九月、原告是村は訴外組合の執行委員長に就任した。
9 本件固定残業制度は、平成二年六月二一日以降は、時間外労働(残業)が固定残業時間を超えた場合、超えた時間数につき精算することとなり、平成三年七月一日に廃止された。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談交渉刑事事件多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します。 

第二 事案の概要
 被告の従業員である原告らが、時間外及び休日労働(労働基準法〔以下、労基法という〕で定める法定労働時間を超える労働や法定休日〔労働法上の休日〕における労働のみではなく、就業規則で定める所定労働時間を超えて法定労働時間内の労働、就業規則等で定める休日で法定休日以外の日の労働をも含む、以下同じ)に従事したとして、当該賃金(以下、時間外及び休日手当という)を請求している事案である(なお、原告薄が四万一四六〇円、同小峰が一五万七七〇三円の予備的請求の趣旨を提出しているが、訴訟物は同一で、単に計算方法が異なるに過ぎないから、予備的な計算方法に基づく金額を明示したに過ぎないものと解される)。
一 争いのない事実
1 被告は、書籍等の訪問販売を主たる業務とする従業員約五〇〇人の株式会社であり、原告平は営業社員(社員資格四級)、原告薄及び同小峰はプロモーター社員として、被告に勤務する従業員である。
2 被告の就業規則には、労働時間について、「第三一条(拘束時間及び労働時間)従業員の拘束時間は、平日八時間、土曜日六時間とし、一週四六時間以内とする。(2)従業員の労働時間は、平日六時間四五分、土曜日五時間とし、一週三八時間四五分以内とする。」「第三二条(始業及び終業の時刻)始業九時、終業平日は一七時、土曜日は一五時」との記載がある。
3 被告は、賃金について給与規定に定めており、原告平の給与は、年令給、資格給、地域手当、職務手当、住宅手当、業績手当等の項目により、原告薄及び同小峰の給与は、年令給、勤続手当、地域手当、歩合給等の項目により、それぞれ定められている。なお、右各給与項目の具体的金額は、別紙〈略、以下同じ〉賃金一覧表一1ないし3の各項目欄に記載のとおりである。
4 被告は、三級以下の社員に適用される給与規定(以下、三級以下給与規定という)一九条三項及び四級以上の社員に適用される給与規定(社員四級以上)(以下、四級以上給与規定という)二二条四項に、労働時間が八時間を超過した時間及び休日出勤したときは、時間給の三割増の賃金を支給する旨を定めている。また、三級以下給与規定一九条五項には「時間外勤務手当(残業代)、休日勤務手当の計算の基礎となる時間給は次のとおりとする。(年令給+勤続手当+職能資格手当+地域手当+事務主任手当+住宅手当)÷一四八時間」、四級以上給与規定二二条六項には「時間外勤務手当(残業代)、休日勤務手当の計算基礎となる時間給は次のとおりとする。(年令給+資格給+業績手当+地域手当+住宅手当)÷一四八時間」との規定が存する。
二 争点
1 原告平が労基法四一条二号の管理監督者の地位にあたるか
2 原告薄及び同小峰について、展覧会の会場での労働が、事業場外みなし労働時間制の適用の対象となるか
3 原告らについて、適法な休日振替がなされているか
4 原告平及び同薄について、展覧会以外の土曜休日労働につき、被告がその指示を出したか
5 原告小峰のほるぷ会出席が業務によるものか
企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉解雇刑事事件借金の返済敷金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。