2011年3月3日木曜日

解雇(リストラ)の判例

今回は、不当解雇(リストラ)について判断している裁判例を紹介します(つづき)。 

(2)本件再雇用拒否が労働契約法16条所定の解雇権濫用法理の類推適用によって無効となるか。
(原告の主張)
ア 再雇用就業規則3条(2)所定の「能力」とは、その職務を遂行する上で備えるべき身体的・技術的能力を意味し、協調性や規律性等の情意(勤務態度)を重視すべきではない。
イ 原告は、被告に就職して以来、長年にわたって多数の書籍の編集を担当しており、職務を遂行する上での身体的・技術的能力、すなわち「通常勤務ができる意欲と能力がある者」に当たることは明らかであるし、本件再雇用拒否をした平成20年10月以降の事実は、本件再雇用拒否の理由とはなり得ないから、本件再雇用拒否は、解雇権濫用法理の類推適用によって無効であり、原被告間には、平成21年4月1日付けで再雇用契約が成立している。
(被告の主張)
ア 職員の服務規律として、就業規則11条は、被告の方針、組織、規律を尊重する旨(誠実義務)、同12条は、上長の指示に従い、職場の秩序を保持する旨(職場規律)をそれぞれ規定し、再雇用就業規則もこれらを準用する旨規定しているのであるから、同規則3条(2)の「能力」とは、身体的・技術的能力にとどまらず、協調性や規律性等の情意(勤務態度)も重要な要素として含むものである。
イ 以下のとおり、原告は、定年退職以前の在職中に重大な服務規律違反があり、その後も一向に改善が見られなかったから、協調性や規律性に係る「能力」に欠けており、「通常勤務ができる意欲と能力がある者」には該当せず、本件再雇用拒否は、客観的・合理的理由があり、社会通念上相当であるから、有効である。
(ア)原告は、「講座社会学」と称する継続的刊行物の編集者を務めていたところ、平成17年2月、第3巻の刊行に当たり、部数・価格や印税の設定について被告に異議を述べるとともに、刊行直前に独断で刊行手続を中止し、その進行を求める被告の説得を聞き入れなかったため、被告は、平成18年6月以降、原告に対し、再三にわたり校正刷りを上司に引き渡すように命じたが、原告が一向に従わないため、懲戒解雇の方針を固めるに至ったものの、原告は、その後、被告に対し、校正刷りを引き渡すとともに、反省文を提出したことなどから、被告は、懲戒解雇処分を減じ、同年8月28日、原告に対し、出勤停止7日間、減給3か月の懲戒処分を行うにとどめた。その結果、原告は、当該編集業務の進行を著しく遅延させ、職場秩序を大きく乱すとともに、関係者に迷惑を掛けるなどした。(以下「再雇用拒否理由1」という。)
(イ)被告は、原告を含む編集局の職員に対し、平成19年8月9日、新たな編集局体制について説明し、同年9月28日、部屋の移動を実施する旨を告知した上、同月6日及び同月7日には、原告に対し、第1編集部の部屋から編集総務部の部屋への移動について個別に説明して理解を求めたものの、原告は、部屋の移動を拒否し、同年10月31日、コピー室の作業台を机代わりに使用して執務するなどしたため、被告は、職員の作業に支障を来すとして、原告に対し、再三にわたり編集総務部の部屋への移動を依頼し、平成20年7月には第3編集部の部屋への移動を依頼したが、原告はいずれも無視してコピー室での執務を継続した。その後、原告は、被告に無断で、コピー室から編集会議室に自分の荷物を移動し、平成21年3月31日の退職まで同室を使用して執務を継続するなどした結果、被告の職場秩序を大きく害した。(以下「再雇用拒否理由2」という。)
なお、不当解雇(リストラ)についてお困りの方は、専門家に相談すべきですので、不当解雇(リストラ)について弁護士に相談してください。また、企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉刑事弁護を要する刑事事件借金の返済敷金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。