2009年12月29日火曜日

解雇協議条項を含む労働協約

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今回扱うテーマは、解雇協議条項を含む労働協約についてです。

裁判例は、解雇協議条項を含む労働協約が締結されている労使間で、解雇協議がなかったことを理由とする解雇は無効であるとの主張について、特別な事情が存したことを理由に否定しました。以下、この判決文の引用です。

本件事前協議約款の締結に至るまでの前記経過及びその文言・趣意等に徴し、信義則に照らして考察すれば、右事前協議の対象事項には、事柄の性質上事前協議にしたしまない場合,あるいは事前協議の到底期待できない特別な事情の存する場合を除いて、従業員の解雇、処分を含むものと解するのが合理的である。
組合の構成員は、パートタイマーの控訴人河原を除けば、本件解雇をされた控訴人高橋及び同中川の両名のみであり、組合の意思決定は主として右両名によつて行われ、組合の利害と右両名の利害とは密接不可分であつたところ、右控訴人両名は、本件解雇理由たる、前叙の両名共謀による松井社長に対しての長時間に及ぶ軟禁、暴行傷害を実行した当の本人であるから、その後における組合闘争としての、右控訴人両名らによる旧社屋の不法占拠などの前叙の事態をも併せ考えると、もはや、被控訴会社と組合及び右控訴人両名との間には、本件解雇に際して、本件事前協議約款に基づく協議を行うべき信頼関係は全く欠如しており、前叙の「労働者の責に帰すべき事由」に基づく本件解雇については、組合及び当人の同意を得ることは勿論、その協議をすること自体、到底期待し難い状況にあつた、といわなければならないから、かかる特別の事情の下においては、被控訴会社が本件事前協議約款に定められた手続を履践することなく、かつ、組合及び当人の同意を得ずに、控訴人高橋及び同中川を即時解雇したからといつて、それにより本件解雇を無効とすることはできない。 



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