2009年3月22日日曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

5 争点3について
(一)被告は、休日振替制を採用しており、休日に実施する展覧会販売については、「業務上やむをえない場合」として休日振替がなされており、休日手当を支給すべき場合にはあたらない旨を主張する。しかしながら、振替休日は、就業規則等に定めがあることを前提として、事前にかつ振り替える日を指定して振替を実施しなければならないが、右取扱いはなされていない。
(二)原告薄の平成四年三月二九日の特販支援については、仮に被告主張の研修であったとしても、被告の業務に従事していたことは明らかであり、事前の休日振替の実施もないから、休日手当が支給されるべきものである。
6 争点4について
 被告は、原告平及び同薄について、展覧会以外の土曜休日に出勤するように指示命令した事実はないので、賃金を支給する必要はない旨を主張する。しかしながら、ノルマを達成しないと休みにくい状況にあり、被告から出勤しないようにとの指導もなく、平日では顧客の関係や業務の都合で対応できない営業活動や事務処理を行う必要からも出勤の必要があり、被告から少なくとも黙示の指示があったものであるから、賃金が支払われるべきである。
7 争点5について
 原告小峰は、平成四年一〇月一〇日(土曜日/休日)のほるぷ会総会への出席のための佐渡への出張について、被告の業務であるとして法内残業時間の五時間の賃金を請求しているところ、被告はほるぷ会が親睦団体であり被告の組織上の団体ではないから、右総会への出席が業務ではない旨主張している。しかしながら、ほるぷ会総会は被告の事業に密接に関連しており、これへの出席は業務の一環として実施され、これに出席することは業務そのものである。すなわち、総会の開催費用は給料から天引きされており、事務局は支店長の指揮のもとに被告の従業員が事務を担当し、入会の可否も被告が決定権をもち、総会では被告の営業責任者が販売促進に向けた講演を行っている等の事情を考慮すれば、ほるぷ会総会への出席が業務であることは明らかである。
(被告の主張)
1(一)原告らの主張1(一)は否認する。原告平は、管理監督者であるから時間外及び休日手当を受ける資格を有しないうえ、四級以上給与規定二二条六項によれば、その基礎となる給与に職務手当(主任手当)は含まれていない。また、原告薄及び同小峰は、プロモーター社員であるから主張の時間外及び休日手当を受けることができない(後述)うえ、三級以下給与規定一九条五項によれば、その基礎となる給与に歩合給は含まれていない。

(二)原告らの主張1(二)は争う。但し、仮に原告らに時間外及び休日手当が支給されるべきものであるとすると、原告ら主張の別紙賃金一覧表一1ないし3の法内残業時間数及び法外残業時間数に関する認否は、同表の「認否」欄記載のとおりである(なお、「認」は原告ら主張の労働時間数を認めるものであり、「修正」は原告ら主張の労働時間数の一部を同表「会社計算欄」記載の範囲で認めるものであり、「否」は否認するものである。)
。なお、右に基づく計算によると、同表「会社試算」欄の「計」欄記載のとおり、時間外及び休日手当が発生するに過ぎない(原告平〔同表一1〕の「会社試算」欄中「給計」欄は職務手当を除いたものであり、原告薄及び同小峰〔同表一2及び3〕の「会社試算」欄中「給計」欄は歩合給を除いたものである)。
2 原告らの主張2は争う。但し仮に原告薄及び同小峰に時間外及び休日手当が支給されるべきものであるとすると、原告薄及び同小峰が主張する当該各月の総実労働時間数については、別紙総実労働時間認否書の「認否」欄記載のとおり認否し、別紙賃金一覧表二1及び2の法内残業時間数及び法外残業時間数に関する認否は、同表の「認否」欄記載のとおりである。なお、右に基づく計算によると、同表「会社試算」欄の「計」欄記載のとおり、時間外及び休日手当が発生するに過ぎない(「会社試算」欄中「給計」欄は歩合給を除いたものである)。
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