2011年3月2日水曜日

不当な解雇(リストラ)の裁判例

今日は、不当解雇(リストラ)に触れている判例を紹介します(つづき)。 

(3)再雇用希望申請書等の提出
 原告は、被告のC総務部長に対し、平成19年7月30日に再雇用希望申請書を提出し(なお、提出日は、再雇用就業規則5条の定める提出期限を徒過しているが、被告は、本件において、提出期限徒過の手続違背を主張していない。)、平成20年5月20日には再雇用希望調査票及び指定医による健康診断書の写しを提出した(以下「本件再雇用申請」という。)。
(4)本件再雇用申請の拒否
 被告は、本件再雇用申請につき、原告に対し、平成20年9月22日、口頭で、原告には、就業規則11条に定める誠実義務及び同12条に定める職場規律に問題があったため、再雇用者として通常勤務できる能力がないと判断した旨を伝えて本件再雇用申請を拒否し、同年10月15日、被告が原告を再雇用しないとの結論に達した旨の記載のある「通知書」と題する書面(書証略)を交付した(以下「本件再雇用拒否」という。)。
(5)原告の定年退職
 原告は、平成20年(月日略)に満60歳に達し、平成21年3月31日に被告を定年退職した。なお、原告は、定年退職に当たって、退職金として2462万6371円(税引後)の支給を受けた。
3 争点及び当事者の主張
(1)再雇用就業規則3条の趣旨
(原告の主張)
 再雇用就業規則3条は、継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置を事業主に義務付けた法の趣旨に照らして解釈・適用すべきところ、同条は、定年退職者で再雇用を希望する者は原則として再雇用するものとし、例外的に「通常勤務ができる意欲と能力がある者」でないことが明らかになった場合等に限り再雇用しない旨規定したものと解すべきであるから、本件再雇用拒否には、解雇権濫用法理(労働契約法16条)が類推適用される。
(被告の主張)
 再雇用就業規則は、被告を定年退職した職員のうち再雇用を希望する者について、その取扱い、条件等を定めたものであり、同規則3条は、定年退職者の再雇用の基準を定め、その再雇用を無条件には保障していない上、東京大学出版会労働組合(以下「本件組合」という。)と被告との間の労使交渉の経緯においても、定年退職者の再雇用が無条件に保障されるものではないことが前提とされていたのであるから、解雇とは性質の異なる本件再雇用拒否には、解雇権濫用法理の類推適用はない。
なお、不当解雇(リストラ)について専門家に相談したい方は、不当解雇(リストラ)に強い弁護士に相談してください。また、企業の担当者で、従業員の解雇についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、保険会社との交通事故の示談交渉刑事弁護を要する刑事事件多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。