2010年5月19日水曜日

労務問題(残業代請求など)の基礎:休日の付与

顧問弁護士(法律顧問)によくある質問をテーマごとにまとめています。

今回は、休日の付与についてです。

1.週休制の原則

休日の不要についての基本原則は、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」(労基法35条1項)というものです。

昭和62年の労基法改正により、1週間の法定労働時間が40時間となったため、現在は週休2日制を採用する企業が多いですが、法律上の最低基準は毎週1休日です。

ここに休日の「日」とは、「午前0時から午後12時まで」をいうので、単に継続して24時間の労働義務を負わない時間があっても休日ではありません。

2.変形週休制

四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については、週休1日制の適用はありません(労基法35条2項)。この制度を採用するためには、就業規則において単位となる4週間の起算日を決めておく必要があります。

3.休日振替

(1)事前の振替

使用者が一方的にできるものではなく、労働者の個別の同意が必要です。ただし、労働協約(※)や就業規則上、業務の必要により就業規則で定める休日を他の日に振り替えることができるとする規定があり、それに従って行われれば、振替は可能です。

※ 労働協約とは、労使が団体交渉によって取り決めた労働条件やその他の事項を書面に作成し、両当事者が署名又は記名押印したものをいいます(労組法第14条)。これには、①平和義務:労働協約の有効期間中に、その協約に定められた事項の変更を要求して、争議行為を行うことは許されないこと、②規範的効力:労働協約で定められた労働条件やその他労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約や就業規則は、違反する事項は無効となり、労働協約が優先すること(労基法第92条、労組法第16条)、③債務的効力:労働協約のうち団体交渉のルールなど使用者と労働組合との関係を規律した債務的部分については、一般の契約と同様に当事者間に債権債務の関係が発生すること、という効果が認められている。

(2)事後の振替

この場合も、使用者が一方的にできるものではありません。そして、就業規則上の休日が変更されないまま労働日となったのですから、使用者は労働基準法上の休日労働の条件(臨時の必要がある場合、労使協定に依拠する場合)を満たす必要があり、しかも割増賃金の支払いを要します。

4.その他

最近、休日についても法改正がありました。その内容については、後日あらためてまとめたいと思います。


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