2009年4月13日月曜日

時間外勤務

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

3 争点1について
 原告平は、労基法四一条二号の管理監督者に該当し、労基法三七条の適用を受けないうえ、就業規則の適用に関しては四級以上給与規定一条の「特に定める場合」に該当するため、同規定二二条に定める時間外及び休日手当に関する規定の適用を除外されており、時間外及び休日手当を請求できない。
(一)原告平は、幹部営業社員として採用され、小田原営業所長及び藤沢営業所長等を経て、東京南支店の販売主任となったもので、同支店の唯一の幹部営業社員であった。東京南支店においては、支店長が一か月に数日しか出勤しないため、原告平は、支店長にかわって支店管理の仕事を代行しており、従業員の売上集計管理、支店における会議及び朝礼の取りまとめ、新入社員のタイムカードの管理、通達文書の連絡、首都圏地区支店長会議への出席等を行い、プロモーター社員で販売課長である吉田及び佐藤課長らに命令することもあった。
(二)被告の規定上においても、原告平の社員資格である四級は、三級以下とは区別され、管理監督職であり、原告平がその地位にある販売主任は、経営の一端を担うものとされていた。
(三)原告平は、右のとおりの管理監督職であったため、年令給及び資格給が高く(殊にプロモーター社員である原告薄及び同小峰と比べて)、売上高の三パーセントの販売報奨金が足切り措置なく支給されており(一般職であれば売上高八〇万円以下の場合には報奨金がつかない)、販売主任手当も得ていたのであるから、四級以上給与規定一条の「特に定める場合」に該当して同規定二二条に定める時間外及び休日手当に関する規定の適用を除外されている。
4 争点2について
(一)就業規則三二条二項但書は、プロモーター社員につき「事業所外勤務のため、前項の終業時刻を越えた場合、通常の労働時間勤務したものとみなす」と規定しているところ、プロモーター社員である原告薄及び同小峰には、右規定の適用により、展覧会における展示販売の場合を含めて所定時間外労働(残業)は発生しない。また、右展示販売の場合が労基法三八条の二で規定する要件に該当することも明らかである。
(二)展覧会の会場での販売は、普段訪問販売に従事するプロモーター社員の販売を容易にするために、被告が主催し、同会場での販売を希望する従業員を対象として実施するもので、随時休憩時間をとりながら行うもので、普段は持ち運ぶことが出来ない絵画等を会場に陳列して訪問販売の対象となっている顧客に足を運んでもらう訪問販売の一形態である。展覧会での展示販売の場合にも歩合対象売上高に応じて高額となる歩合給を受けることが予定されており、みなし労働時間制の採用により、時間外労働(残業)は発生しない。
(三)被告は、展覧会の会場での販売について、プロモーター社員に参加を何ら強制しておらず、現実にもこれに参加していないプロモーター社員が存する。そして、展示販売の時間中は、自由に利用できる休憩時間を増やし、労働時間を増やすことのようように指導しているのであり、休憩時間を制限したこともない。また、支店長等が現場に行っているが、プロモーター社員の実際の個別の販売についてまで具体的な指揮監督は及んでいない。
企業の方で、残業代請求などについてご不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士費用やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。その他にも、個人の方で、交通事故の示談交渉解雇刑事事件借金の返済敷金返却や原状回復(事務所、オフィス、店舗)遺言や相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。