2009年8月22日土曜日

残業代請求・サービス残業

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

四 争点4について(原告平及び同薄について、展覧会以外の土曜休日労働につき、被告がその指示を出したか)
1 被告は、原告平について、土曜休日出勤を指示・命令した事実はないので時間外及び休日手当(但し法定休日ではないので法定労働時間までは法内賃金)を支給する義務はない旨主張するので検討する。
 原告平の土曜休日の勤務内容(但し展覧会を除く)は、証拠(〈証拠・人証略〉)によれば、(1)平成三年二月二三日が成城中・高等学校及び早稲田高等学校での販売業務、同年三月二三日が日本橋図書館及び京橋図書館での販売業務、同年三月三〇日が成城中・高等学校及び早稲田高等学校での販売業務、同年四月二七日が北山伏保育園での販売業務、同年六月二九日が京橋図書館での販売業務、同年七月六日が日本橋図書館及び京橋図書館での販売業務、平成四年七月二五日が西新宿保育園及び角筈図書館での販売業務、同年一〇月三一日が新宿区立中央図書館での販売業務、同年一二月二六日が上野富衛及び高田馬場第二保育園での販売業務と、それぞれの日に被告東京南支店における内勤業務に従事し、
(2)平成三年七月一三日及び平成四年五月三〇日には内勤業務と顧客への手紙の作成発送等の業務に従事し、また平成四年五月三〇日には月末の最終報告を作成して被告の本社に報告し、(3)平成三年一一月一六日には被告主催の販売研修会へ参加し、(4)平成四年五月二三日には当日夜に計画されていた販売促進のための「保育園父母の会西品川ブロック・こどもの本講演会」の準備作業に従事した。
 右(3)及び(4)については、いずれもその勤務内容によれば、被告の明示の指示により土曜休日出勤を行ったものと認められる(〈証拠・人証略〉)から、この点に関する被告の主張は理由がない。また、右(1)については原告平の通常の勤務日のみでは訪問販売業務の全部を処理することが不可能な状況にあるために行われた義務であり、右(2)については通常の勤務日のみでは処理できない顧客への手紙等の発送や月末の売上げに関する報告等の業務に従事したものであり、右(1)(2)のいずれについても、タイムカードによって被告に管理され、被告において原告平がこれらの業務に従事していることを充分に認識しながら、これらの業務を中止するように指示を出すこともなかったのであるから、少なくとも被告による黙示の指示によって土曜休日出勤がなされていたものと認められ(〈証拠・人証略〉)、この点に関する被告の主張も理由がない。
2 被告は、原告薄について、土曜休日出勤を指示・命令した事実はないので時間外及び休日手当(但し法定休日ではないので法定労働時間までは法内賃金)を支給する義務はない旨主張するので検討する。
 原告薄の土曜休日の勤務内容(但し展覧会を除く)は、証拠(〈証拠・人証略〉)によれば、(1)平成三年五月一八日、六月二二日、六月二九日、七月二七日、一〇月二六日、一一月九日が、いずれも田無市図書館、小金井北高等学校、小金井工業高等学校、府中高等学校等での販売業務に従事し、(2)平成三年一一月一六日には、被告本社での研修に参加した。
 右(2)については、その勤務内容によれば、被告の指示により土曜休日出勤を行ったものと認められる(〈証拠・人証略〉)から、この点に関する被告の主張は理由がない(参加を強制したものではないとしても業務の一環であることは明らかであり、労働時間に算入されるべきものである)。また、右(1)については、原告薄はプロモーター社員であるところ、同じプロモーター社員である原告小峰は訪問販売のための土曜休日出勤はしていないこと、原告薄にノルマは存しなかったこと、売上目標に達しないことで被告がペナルティーを課すことはなかったことが認められる(〈証拠・人証略〉)ものの、現実には月間の売上目標に達しないと休みをとりにくい風潮にあり、登坂支店長のころ(平成二年ころ)には売上が悪いのに休みをとるのかとの趣旨のことを言われたことがある他、これらの業務は原告薄の通常の勤務日のみでは訪問販売業務の全部を処理することが不可能であるために土曜休日に行われた業務と認められ(原告薄)、タイムカードによって被告に管理され、被告において原告薄がこれらの業務に従事していることを充分に認識しながら、これらの業務を中止するように指示を出すこともなかったのであるから、少なくとも被告による黙示の指示によって土曜休日出勤がなされていたものと認められ(〈証拠略〉、
原告薄、弁論の全趣旨)、この点に関する被告の主張も理由がない。
3 したがって、原告平及び同薄について、土曜休日出勤を指示・命令した事実はないので時間外及び休日手当を支給する義務はない旨の被告の主張は理由がない。
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