2009年10月22日木曜日

残業代請求

今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

2 原告平の時間外及び休日労働の労働時間については、別紙賃金一覧表一1記載の各年月日の原告主張の法内残業時間数及び法外残業時間数のうち、被告が時間数を争っている部分について判断する(当事者間に争いのない部分はこれを前提に算定する)。
 平成三年四月一四日の日曜展覧会について、原告平は午前一〇時から午後五時まで昼食をとった一五分間を除いた六時間四五分が法外残業時間である旨を主張し、当日は原告平と谷津プロモーターしかいなかったので、休憩時間をとることができなかった旨を供述する。しかしながら、就業規則上は正午から午後一時までと午後三時から三時一五分までは休憩時間であり(就業規則三五条〔〈証拠略〉〕)、当日の展覧会には他の三人のプロモーターも参加していたものと認められ(〈証拠略〉)、定められた休憩時間をとることができなかったものと認めるに足りる証拠はないから、同日の法外残業時間は、休憩時間一時間一五分を引いた五時間四五分であると認められる。
 平成三年六月二六日の本社会議については、通常の就労時間に引き続いて午後八時二〇分まで勤務したものと認められるところ(〈証拠・人証略〉)、午後五時一五分から六時三〇分まで(午後五時から五時一五分は休憩時間〔弁論の全趣旨〕)の一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から八時二〇分までの一時間五〇分が法外残業時間と認められる。ところで被告は、四級以上給与規定二二条二項二号(〈証拠略〉)によると時間外勤務(残業)については六時三〇分から起算する旨の規定があるので、午後五時一五分から六時三〇分までの時間は時間外勤務(残業)ではない旨を主張するところ、右規定は割増賃金(残業代)が必要な法外残業時間についての規定であると認められ、就業規則三一条、三二条(〈証拠略〉)で一日の所定労働時間が午前九時から午後五時まで(但し一時間一五分の休憩時間あり)の六時間四五分と定められているのであるから、午後五時一五分から午後六時三〇分までは法内残業時間であると認められ、被告の主張は理由がない(この点については以下に記載する各日時について全て同様である)。
 平成三年九月二四日の展覧会搬入については、通常の就労時間に引き続いて翌日の午前一時まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時一五分から六時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から午後一〇時までと午後一〇時三〇分から翌日午前一時までの六時間が法外残業時間と認められる。なお、午後一〇時から一〇時三〇分は就業規則三五条(〈証拠略〉)により休憩時間と定められているところ、右時間について原告平が休憩をとることができなかったことを認めるに足りる証拠はないから、この点を労働時間とする原告の主張は理由がない(この点については以下に記載する各日時について全て同様である)。
 平成三年九月二五日の展覧会については、通常の就労時間に引き続いて午後九時三〇分まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時一五分から六時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から午後九時三〇分までの三時間が法外残業時間と認められる。
 平成三年九月二六日の展覧会については、通常の就労時間に引き続いて午後八時三〇分まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時一五分から六時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から午後八時三〇分までの二時間が法外残業時間と認められる。
 平成三年九月二七日の展覧会については、通常の就労時間に引き続いて翌日午前零時まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時一五分から六時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から午後一〇時までと午後一〇時三〇分から翌日午前零時までの五時間が法外残業時間と認められる。
 平成四年五月一〇日の日曜展覧会について、休日振替と認められないことは前記判断(〈証拠略〉)のとおりであり(但し代休をとっているので、請求できる賃金は割増部分のみであることも前述のとおり)、午後一時から午後八時まで勤務したものと認められるところ(〈証拠・人証略〉)、午後三時から三時一五分及び午後五時から五時一五分の休憩時間三〇分を除いた六時間三〇分の法外残業時間が認められる。
 平成四年七月二五日の土曜休日出勤については、始業時間から正午まで勤務したものと認められるところ(〈証拠・人証略〉、なお定められた休憩時間をとることができなかったものと認めるに足りる証拠はない)、三時間が法内残業時間と認められる。
 平成四年九月二一日の展覧会搬入については、当日は休暇であったが、午後五時一五分(勤務開始時)ころから午後一一時三〇分まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時一五分から六時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間、午後六時三〇分から午後一〇時までと午後一〇時三〇分から午後一一時三〇分までの四時間三〇分が法外残業時間と認められる。
 平成四年九月二二日の展覧会については、午前一〇時から午後八時まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後六時一五分から午後七時三〇分までの一時間一五分が法内残業時間(始業時間が一時間遅いので午後五時一五分から一時間繰り下げて計算)、午後七時三〇分から午後八時までの三〇分が法外残業時間と認められる。
 平成四年九月二四日の展覧会搬出については、午前一〇時三〇分から午後一一時まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後六時四五分から午後八時までの一時間一五分が法内残業時間(始業時間が一時間三〇分遅いので午後五時一五分から一時間三〇分繰り下げて計算)、午後八時から午後一〇時までと午後一〇時三〇分から午後一一時までの二時間三〇分が法外残業時間と認められる。
3 したがって、原告平は、別紙賃金一覧表三1記載の各年月日に、法内残業時間数については「所定内時間」欄記載のとおり、法外残業時間数については「所定外時間」欄記載のとおり、時間外又は休日労働を行ったものと認められる(時間数について前記六2で認定した各日時以外は当事者間に争いがない)。そして、右各年月日における一か月あたりの賃金額は「給与」欄記載のとおりであり(職務手当以外の部分の金額は当事者間に争いがなく、職務手当が二万円であることは〈証拠略〉及び弁論の全趣旨により認められる)、これを一四八時間で除した時給額は「時給」欄記載のとおりである(但し小数点第四位以下を四捨五入)から、右各年月日の法内残業に対応する賃金額は「法内賃金」欄記載のとおりであり(「時給」欄記載金額に「所定内時間」欄記載の時間数を乗じて小数点以下を四捨五入したもの)、法外残業に対応する賃金額は「法外賃金」欄記載のとおりであり(「時給」欄記載金額に一・三を乗じ、さらに「所定外時間」欄記載の時間数を乗じて小数点以下を四捨五入したもの、但し平成四年五月一〇日分については前記判断〔三3〕のとおり割増部分である三割[〇・三]のみを乗じて計算)、その合計は「合計」欄記載のとおりである。したがって、原告平の請求については、右合計の二三万七九五一円の範囲で理由がある。
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