2009年3月12日木曜日

時間外労働

今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

3 原告らと被告とは、本件未払割増賃金(残業代)問題について、争わない旨の合意をしたかについて
(被告の主張)
(一)訴外組合と被告とは、平成三年六月二一日、本件固定残業制度の廃止及びそれに伴う諸問題に関する東京都労働委員会(以下「都労委」という。)の斡旋案を受諾し、同月二八日に協定書の作成・調印を行うことにより本件固定残業制度の完全廃止に至ったのであるが、その中で訴外組合は、原告らの未払割増賃金(残業代)問題について、今後一切請求せず、争わない旨を被告と合意した。
(二)右の合意に先立ち、原告らは、訴外組合に対し、被告との間における本件未払割増賃金(残業代)問題の解決を委任していた。
(原告らの主張)
 被告の主張は否認する。被告主張にかかる平成三年六月二一日に労使双方が受諾した斡旋案にも、同月二八日に締結された協定書にも、本件未払割増賃金(残業代)の問題は一切触れられていない。また、そもそも訴外組合は、原告らから本件未払割増賃金(残業代)問題の解決についての委任を受けていないのであるから、仮に訴外組合が原告らに帰属する請求権について原告らに不利益な内容で合意しても、原告らはこれに拘束されるものではない。
4 本件割増賃金(残業代)請求権の消滅時効の成否について
(被告の主張)
 原告らの本件割増賃金(残業代)請求権のうち、本件が提訴された平成三年一二月一〇日から二年以上前に弁済期の到来したものは消滅時効にかかっており、被告は、右消滅時効を援用する。
(原告らの主張)
 原告らは、被告に対し、平成二年七月二〇日到達の書面で本件未払割増賃金(残業代)等の請求をしたところ、被告は、検討のための時間的猶予を求めた。その後も、原告らは、被告に対し、交渉の席であるいは書面で度々右請求を行ったが、被告は、検討中であり支払わないとは言っていないとか、法的に認められるものについては支払う意思があるなどと述べ、また、原告らが訴訟提起によって解決する意向を示すと、それは困る、交渉によって解決したいなどと述べていた。そして、平成三年七月五日に至って初めて支払うつもりがないと通告してきたのである。これらの事実経過に照らすと、被告が消滅時効を援用することは信義則に反し、権利濫用であって許されない。
5 遅延損害金請求権の有無について
(原告らの主張)
 原告らは、被告に対し、割増賃金(残業代)請求権を有しているところ、各割増賃金(残業代)合計額に対する平成二年六月二六日以降支払済みに至るまで年六分の割合による遅延損害金の支払いをそれぞれ求める(一部請求)。
(被告の主張)
 被告には、原告らに対する割増賃金(残業代)支払義務はなく、したがって、原告らに対し、それらについての遅延損害金支払義務が生じることはない。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。