2010年7月29日木曜日

不正競争防止法上の保護期間に係る裁判例の紹介

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今回は、不正競争防止法上の保護期間についての裁判例を紹介します。

この裁判例は、最初に販売された日から3年を経過した後は原則として形態模倣行為は不法行為を構成しないと判断しました。以下は判決文の引用です。

不正競争防止法2条1項3号が,保護期間を3年と定めた趣旨は,次のようなものであったと解すべきである。
 すなわち,商品の創作や開発のために要する資金の額や,商品のライフサイクルは,商品の種類により千差万別であるため,先行者が投下資金を回収するために必要な期間は,一定ではない。
 しかし,投下資金を回収するために必要な期間を,個別の事案ごとに事情に応じて決定するとなると,その業種や商品の特性等について個別具体的な認定判断が必要になるため,後発者の予見可能性が害され,自由な競争を萎縮させるばかりか,先行者が簡易迅速に保護を受けることができず,先行者の保護を図った不正競争防止法の趣旨を没却することにもなりかねない。
 そこで,不正競争防止法2条1項3号は,業種や商品の特性等の要素を捨象して,一律に,最初に販売された日から起算して3年を経過しない商品に限り,その形態を模倣した商品を譲渡等する行為を不正競争行為に該当するとしたものである。
 なお,法が保護期間を3年とした根拠は,商品のモデルチェンジのサイクルがおおむね3年以内であること,国際的なハーモナイゼーションが求められていること,登録を要する実用新案権の存続期間が6年であり,登録を要しない不正競争防止法2条1項3号による保護期間がそれより長期にわたるのは相当ではないことなどを考慮したことによるものであると解される。
(4)このような不正競争防止法2条1項3号の趣旨を考慮すると,同号は,最初に販売された日から起算して3年を経過しない商品に限り,商品形態の模倣行為を不正競争行為として禁じ,その模倣行為の差止請求権等を認めるものの,3年を経過した後の模倣行為については,当該模倣行為が公正な競争秩序を破壊する著しく不公正な方法で行われ,その結果,先行者に営業上,信用上の損害を被らせた場合など,公正かつ自由な競争として許容される範囲を著しく逸脱する行為と認められる特段の事情がない限り,違法性を欠き不法行為に該当しないものと定めた趣旨であると解するのが相当である。


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