2009年12月12日土曜日

残業代請求

今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

八 原告小峰の請求について
1 被告は、原告小峰に対し、法内残業時間については、通常の労働時間の賃金を、法外残業時間については、右賃金の三割増の割増資金を支払う義務がある。そこで、右時間給を検討するに、前記七1で認定判断したとおり、一か月分の年令給、勤務手当及び地域手当の合計額を一四八時間で除したものと、一か月分の歩合給を一か月の総労働時間数で除したものとの合計額が右時間給である。したがって、法内残業については、右時間給に法内残業時間数を乗じた額、法外残業については、右時間給の三割増の金額に法外残業時間数を乗じた額が、被告が原告小峰に支払うべき金額となる。
2 原告小峰の時間外及び休日労働の労働時間については、別紙賃金一覧表一3(又は賃金一覧表二2)記載の各年月日の法内残業時間数及び法外残業時間数のうち、被告が時間数を争っている部分について判断する(当事者間に争いのない部分はこれを前提に算定する)。
 平成三年九月二五日の展覧会については、午前九時三〇分から午後七時二〇分まで勤務したものと認められるところ(〈証拠略〉)、午後五時四五分から七時までの一時間一五分が法内残業時間、午後七時から午後七時二〇分までの二〇分が法外残業時間と認められる(始業時間が三〇分遅いので午後五時一五分〔午後五時から五時一五分は休憩時間〕から三〇分終業時間を繰り下げて計算されるべきものである。)
 平成四年六月二〇日の土曜休日展覧会について、同月五日に休日振替がなされていることは前記判断のとおりであり(〈証拠略〉)、所定時間外の一時間一〇分のみが法外残業時間と認められる。
 なお、平成四年一〇月一〇日のほるぷ会への参加については、労働時間と認められないことは前記判断(五)のとおりである。
3 原告小峰の各月の総労働時間数については、別紙総実労働時間認否書記載のとおり、平成三年六月、七月、平成四年六月については当事者間に争いがない。平成三年九月の総労働時間数に関しては、平成三年九月二五日の労働時間数が前記判断(八2)のとおり午前九時三〇分から午後七時二〇分までの九時間五〇分から休憩時間の一時間三〇分(正午から午後一時、三時から三時一五分、五時から五時一五分)を引いた八時間二〇分であるところ,原告がこれを八時間三五分で計算しているから(弁論の全趣旨)、原告主張の一一八時間五四分から一五分を引いた一一八時間三九分であると認められる(被告主張の時間数)。平成四年五月の総労働時間数については、原告主張の同月分の労働時間数のうち平成四年五月一二日分の六時間四五分が落ちていると認められるので(弁論の全趣旨)、これを加算して一三六時間三〇分と認められる(被告主張の時間数)。
4 したがって、原告小峰は、別紙賃金一覧表三3記載の各年月日に、法内残業時間数については「所定内時間」欄記載のとおり、法外残業時間数については「所定外時間」欄記載のとおり、時間外又は休日労働を行ったものと認められる(前記八2で認定したもの以外は当事者間に争いがない)。そして、「月給」欄記載の金額が右各年月日における一か月の年令給、勤続手当及び地域手当の合計額であり(金額については当事者間に争いがない)、これを一四八時間で除したものが月給部分の時間給(但し小数点第四位以下を四捨五入)であり「時給A」欄記載のとおりである。また、「歩合給」欄記載の金額(金額は〈証拠略〉及び弁論の全趣旨により認められる)を「月間総労働時間」欄記載の一か月の総労働時間数(前記八3で認定したもの以外は当事者間に争いがない)で除した金額が「時給B」欄記載の歩合給の時間給(但し少(ママ)数点第四位以下を四捨五入)である。「時給C」欄は「時給A」欄と「時給B」欄の合計である。そして、右各年月日における法内残業に対応する賃金額は「法内賃金」欄記載のとおりであり(「時給C」欄記載金額に「所定内時間」欄記載の時間数を乗じて小数点以下を四捨五入したもの)、法外残業に対応する賃金額は「法外賃金」欄記載のとおりであり(「時給C」欄記載金額に一・三を乗じ、さらに「所定外時間」欄記載の時間数を乗じて小数点以下を四捨五入したもの)、その合計は「合計」欄記載のとおりである。したがって、原告小峰の請求については、右合計の一二万五五八四円の範囲で理由がある。 
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